開業したてのころ、知り合いから、顧問先を紹介してもらうことがあった。
話を聞く前から、合わないかもしれない、とはおもっていた。
顧問料の感覚。
社長の考え方。
頼まれそうな中身。
どれも、少しずつ引っかかっていた。
それでも、話は聞きにいった。
紹介してもらった手前、会いもせずに断るわけにはいかない。
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聞いてみると、やはりずれていた。
頼まれたのは、記帳代行だった。
僕は、記帳代行は受けないと決めている。
しかも、過去の年までさかのぼって、申告していなかった分からだった。
断った。
決めていたとおりだ。
でも、後ろめたかった。
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後ろめたさは、まず、紹介してくれた人に向いていた。
せっかくつないでくれたのに、という気持ちだ。
社長にも、向いていた。
困っているから、相談に来たのだ。
紹介してくれた人には、「折り合いがつかなかった」とだけ伝えた。
相談の中身は、守秘義務があるから話せない。
それは当然だ。
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あとになって、引っかかった。
記帳代行を受けていないことは、はじめから言えた。
それは、社長の話ではない。
僕の話だ。
話を聞く前に言っていれば、断る理由は、それで足りていた。
言わずに、聞きにいった。
聞きにいけば、期待を持たせてしまう。
そのあとで断ったから、後ろめたくなった。
後ろめたさの元は、断ったことではなかった。
聞いてしまったことのほうにあった。
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誰かに、黙っていろと言われたわけではない。
紹介してくれた人の顔が浮かんで、最初の違和感を、じぶんでしまいこんだ。
礼儀のつもりで飲みこんだものが、あとで、後ろめたさになって戻ってきた。
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いまは、紹介を受けたら、まずブログを見てもらうようにしている。
受けている業務も、値段も、ぜんぶ書いてある。
どんなふうに考えているのかも、プロフィールを読めば、ある程度は伝わる。
そのうえで頼みたいとおもったら、問い合わせフォームから連絡をもらう。
線は、会う前に置いておく。
そうすれば、僕が飲みこむ前に、相手がじぶんで選べる。
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聞くこと自体が、悪かったわけではない。
順番が、逆だった。
線を置いてから、聞けばいい。


